前回の【体験記】妊活1年3ヶ月で妊娠するまでにやったこと【独学編】では、クリニックに通う前に自分たちで妊活した体験を書いてきましたが、いよいよ今回は不妊治療専門クリニックに通っていたときの体験談になります。不妊で悩む方々の参考に少しでもなれば幸いです。
クリックに通うって、どういう検査や治療があるの?治療費はどれくらいかかるの?って不安になりますよね?僕たちは人工授精3回目で授かることができましたが、不妊の原因は人それぞれ。あくまでも参考にしていただけたらと思います。
実際にやったこと(クリニックに通ってから)
検査をした
実際に検査をした内容としては以下の通りです。
- 血液検査(ホルモン値、風疹抗体、抗精子抗体、性病)
- 子宮頸がん検査
- 精液検査
- 子宮鏡検査
- 卵管造影検査
血液検査
まず最初に血液検査をしました。検査でわかることは、
ホルモン値(AMH(卵巣予備能)や、低温期と高温期に必要なホルモンが足りているかどうか)
初回のホルモン値で異常がなければ毎周期、採血しLH(排卵が近いかどうか)をみます。
風疹抗体(妊娠初期に風疹に感染すると胎児に影響が出るため風疹抗体があるかどうか)
ちなみに妻は風疹抗体がつきにくい体質らしく、これまでに3回も風疹予防接種を打っていましたが、風疹抗体がありませんでした。
体質により抗体ができない方もいるので、パートナー(男性)も必ず風疹抗体があるかを検査し、なければ予防接種するようにしましょう!
抗精子抗体(精子を外敵とみなし精子の動きを妨げてしまう抗体のこと)
抗精子抗体が陽性であった場合は自然妊娠が極めて難しく、人工授精以上の治療を勧められる場合があります。
B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルスは性交渉で感染することが多く、C型肝炎ウイルスは血液感染が主)
B型、C型肝炎ウイルスは母子感染するおそれがあり、肝硬変、肝がんなどの発症リスクがあります。
性病(HIV、クラミジア感染症、梅毒)
卵管の閉塞や卵管周囲癒着を起こすことがあり不妊の原因となったり、流産や新生児への影響もあります。
子宮頸がん検査
子宮頚部を先にブラシの付いた専用の器具でこすって細胞を取り異常な細胞を顕微鏡で調べる検査。
妻は、細胞学的初見にて『軽度な炎症性背景が見られるが悪性細胞は認めません』という結果でした。
少し痛みを伴う検査で、妻いわくピッと引っ掻かれた感じで少し痛かったみたいですが、痛みの許容範囲は人それぞれですので、あまり不安になる必要はないかと思います。
精液検査
精液量、濃度、運動率、奇形率、運動能、白血球、総運動精子数などが数値化されます。
僕たちが通っていたクリックでの《基準値》は以下の通りでした。
僕は最初の検診の時と、人工授精の時の採精で3回精液検査していますが、検査結果としては、濃度が1400万~3600万/mlで基準値の前後、運動率が43~58%で基準値よりギリギリ、奇形率が20~28%で基準値よりギリギリ、運動能だけは全部Aでした。
極端に悪いということではないですが、自然妊娠を望むとなると確率が低いんだろうなという印象です。
子宮鏡検査
細いファイバースコープを用いて子宮内の状態や卵管の入口の状態を検査します。
検査の際、子宮内に減菌の生理食塩水を流しながら観察するため子宮の内圧が上がり下腹部の違和感や痛みを伴うことがあります。
痛みの個人差があるので一概には言えませんが、妻いわく子宮鏡検査のほうが重~い生理痛で下腹部がズキーンとする感じで、子宮頸がん検査や卵管造影検査より痛かったようです。妻は、検査の一時間前に痛み止めを飲んだみたいです。
卵管造影検査
造影剤を用いてレントゲン撮影を行い、子宮の形態と卵管の通過性、卵管周囲癒着について調べる検査。
造影剤を入れてレントゲン撮影し、20分後に造影剤が広がったあとに、もう一度レントゲン撮影したようです。
妻いわく造影剤を入れる際に生理痛のような痛みがあったみたいですが、子宮鏡検査ほどではなかったようです。が、これも人それぞれなので、こっちの方が痛い方もいます。この検査も一時間に痛み止めを飲んだみたいです。
内服薬を服用した
クロミッドとレトロゾール(卵胞を育てる)
妻は生理不順で、その原因が軽度の多嚢胞性卵巣症候群と診断され、卵胞の育ちに時間がかかって排卵がなかなかできない状況であったため、内服を行い卵胞を育てることとなりました。
その際に処方された内服薬が最初はクロミッドという薬でした。生理が来た日をd1と数えd5から毎朝1錠5日間内服し、d13頃に受診をし卵胞と内膜の育ちをチェックし排卵予定日の予測をします。
5周期ほどクロミッドを内服していましたが、妻の場合はクロミッドの副作用で内膜が薄くなりやすくなる症状が出ていたため、主治医と相談し同じく卵胞を育てるレトロゾールという内服薬に変更しました。
しかし、妻の体質にはクロミッドの方が卵胞を育ているという面においては合っていたようで、レトロゾールにしたことでのちに出てくるhMG注射を併用することとなりました。
内服薬についてはあくまでも妻の場合であり、症状や副作用、病院や主治医の方針によって異なるため、主治医と相談し指示通りに内服をしていくことが重要です。
ルトラール(黄体ホルモンを助ける)
排卵後は黄体ホルモン作用効果があるルトラールという内服薬が処方されました。これは排卵後から10日間朝夕1錠ずつ内服していて、着床や妊娠維持を促すために黄体ホルモンの補充が必要だと説明を受けました。
個人差はありますが、妻の場合はルトラール内服終了後1週間ほどで妊娠できなかった場合の生理が来るため、通常高温期が14日間のところ4日間ほど高温期が伸びて生理が来ていたようです。
注射を打った
hMG注射は妻の場合はレトロゾールを内服しても卵胞が育ちきれていなかった場合に使用していました。hMG注射は卵巣を刺激し卵胞の発育を促すために使用します。
hCG注射はLHサージを起こすための注射であり、十分に卵胞が発育した状態で注射をすることで意図的にLHサージを起こし、卵子を受精可能な状態に成熟させ排卵を促します。
クリニックに月2~3回通い排卵チェック
生理開始日をd1としてd12~14の間に卵胞チェックのために受診をします。
卵胞チェックとは、血液検査でのホルモン検査とエコー検査で卵胞の育ちを確認し排卵日を予測することです。
また1回の受診で卵胞が育っていなければ内服薬や注射などを追加して数日後に再度受診をし、排卵日予測もしくは排卵済みであるのか確認をしてもらいます。
排卵を予測してもらうことで仲良しのタイミングを指導してもらうことができたり、人工授精を行う日を決定することができます。
タイミング療法(6周期)
クリニックに通い内服薬にて生理周期が整ってきたことから、妻の排卵日がおおよそd13~d18くらいまでということがわかってきました。
予測してもらった排卵日だけ仲良しのタイミングを取るのではなく、精子の状態をよく保つことができるように、また子宮の血流が良い状態をつくっておくためにも早めにd7頃からできるだけ一日おきに仲良しのタイミングを取り、いつ排卵をしても精子が待ち構えている状態を作っておくことを心がけていました。
シリンジ法
僕の仕事が夜勤や日勤の連続した勤務の場合もあり、排卵日前後に上手く仲良しのタイミングを取ることができない日もありました。
その時に妻がtwitterで知り合った友人にシリンジ法というものを聞き、僕たち夫婦も取り入れてみることにしました。シリンジ法は性交痛があったり、仲良しのタイミングを取るプレッシャーなどで膣内射精障害や中折れになり上手く仲良しができない人や僕たち夫婦のように夫婦の時間がなかなかとれない場合に仲良しの代替方法として使用されているようです。
妻がシリンジのカテーテルを挿入する際に痛みがあるとのことで2回ほどしか使用しませんでした。(専用のローションなどを使えば痛みなく使用できた可能性もあります。)
人工授精
人工授精とは、排卵の少し前から排卵直後までの妊娠しやすい時期に精子を子宮内に直接注入することにより、妊娠率を上げる不妊治療です。
洗浄濃縮精子を子宮内に注入するので、通常の性交渉より多くの精子数が受精の場である卵管膨大部に到着し妊娠率が上がるとされています。
僕たち夫婦はタイミング療法を開始して3周期ほど経ったころから、タイミング療法で妊娠できなかった場合のステップアップについて夫婦でよく話をしていました。
クリニックの初診の際にも主治医よりまずは6周期ほどタイミング療法をしてみましょうと話があったため、妻は6周期終えたら人工授精にステップアップをしたいと考えていたようです。
2022年4月より保険適応になっていたことや、クリニックからも人工授精とは言ってもタイミング療法と併用し行っていくものだと聞いて僕自身も特に抵抗はありませんでした。
タイミング療法に追加して、予測してもらった排卵日に採精を行いクリニックで人工授精を行いました。
採精の方法はクリニックによっても違いますが、僕はクリニックに同行できる日には妻と一緒に行き採精室で採精し、同行できない日には自宅で人工授精の2時間前に採精カップに採精し妻がクリニックへ提出をしてくれていました。時期によっては精子が温まりすぎたり冷えすぎたりすると精子の状態が変わってしまうため、保温するなど自宅から持っていく場合にはクリニックの指示を確認するようにしましょう。
人工授精は細いカテーテルで精子を子宮内に注入するため、個人差はありますが痛みを感じる場合もあります。妻の場合は今までに受けた検査ほどの痛みはなく、カテーテル挿入時にチクっとした痛みを感じた程度でその日の生活には支障はなかったようです。
不妊治療専門鍼灸院に通った
妻がtwitterで不妊治療について情報を集める中で不妊治療専門にしている鍼灸院があることがわかりました。
自宅から負担なく通うことができ、料金的にも続けることができることや体験プランのある不妊治療専門鍼灸院を見つけ早速行ってみました。
まずは今までの妊活歴や生活習慣、現在の不妊治療などについてカウンセリングがあり、また今までにクリニックで行った採血の結果や実際に体の状態を見てもらいました。
カウンセリングをもとにタイミングの取り方や温活について、食事の注意点などの話があり、間違った知識で温活をしていたことや自宅でのセルフケアについて学びました。
鍼やお灸をしてもらうことで体質改善が見込まれますが、個人差はあるものの体質改善には最低でも120日かかると説明を受けました。
実際すぐに効果を実感することは難しかったですが、後に出てくる自宅でのセルフお灸や温活、食事の改善などを実施し妻の場合は3カ月(週1回通院)ほどで卵胞の育ちや排卵がスムーズにいくなど鍼灸院の効果を感じていたようです。
また妻が通っていた鍼灸院では男性へのアプローチもできるとのことで、僕も3回ほど利用しました。妻に比べて通う頻度や回数が少なかったため効果は実感しにくかったものの、精子が作られる原理や精子の質をできるだけ良く保つために日常生活で気を付けることなどを教えてもらいました。
セルフお灸
不妊治療専門鍼灸院で自宅でできるセルフケアのひとつとしてお灸を教えてもらいました。
妻の場合は肩より上に熱がこもり高温期の体温が高すぎること、足が冷えすぎていること、足が冷えているということは下半身の毛細血管の広がりが悪く子宮を含め血流があまりよくないと指摘を受けました。
妻は太渓(たいけい)と三陰交(さんいんこう)天枢(てんすう)のお灸を入浴後に毎日行っていました。僕には次髎(じりょう)のお灸を勧められ入浴後に妻にしてもらっていました。
実際にお灸をしてみると、足先までじんわりと温かくなり血流が良くなっていることを実感しました。
精巣や卵巣にも血流が流れ、よく栄養が届くことで質のいい精子や卵子を育て、子宮内の状態も良くなっていくことを期待できます。
腹巻きをやめた
温活のために始めた腹巻きでしたが、鍼灸院の先生から保温をしてしまう腹巻きや日常的なカイロ、レッグウォーマーの使い過ぎはよくないと指摘を受けました。
保温は自分で体を温めよう、エネルギーを作ろうとする機能を弱めてしまうためお灸や一時的に電子レンジで温めて使う湯たんぽなどを足や腹部が冷えたなと感じた時に使用し、温まったと感じたらやめるようにと説明を受けました。
食生活を見直した
鍼灸院の指導により食生活の見直しも行いました。
もともと朝ごはんにフルーツグラノーラ+ヨーグルトを食べていたのですが、グラノーラやヨーグルトに含まれる糖質が腸内に蓄積することで腸内の炎症を起こし、その炎症が子宮内の環境にも影響をすると説明を受けました。そこで、たんぱく質やオメガ3を意識し、白米、味噌汁、納豆、卵、焼き魚(焼き鮭)といった和食中心の朝ごはんにしました。
また、良質な油をできるだけ摂取した方がよいとのことでサラダ油はこめ油に変更し、その他オリーブオイルやごま油など料理によって使い分けるようにしました。亜麻仁油もオメガ3が入った良質な油であるため、亜麻仁油入りのドレッシングをサラダに使用しました。
トマトジュースは抗酸化作用があり、リコピンが精液中の活性酸素を消去し、精巣の炎症も抑えてくれると聞き毎日1杯飲むようにしました。
射精頻度を増やした
鍼灸院の指導により射精回数も増やすよう心掛けました。
精子は出さずに溜め込むと、精子を作り出す工場が必要ないとサボってしまうので、古い精子ばかりが溜まり新しい精子が作られにくい状態になってしまいます。
できれば毎日出すのが理想だと言われましたが、さすがにそれは難しいので2~3日に1回は出すようにしました。
タイミングを1日おきにとっていたのと、それ以外は自慰行為で出すようにし、精子が元気な状態でいれるようにしました。
僕が学生のときはオナ禁という言葉をよく聞きましたが、適度に出すことも大切なんだと改めて思いました。
入浴後睾丸を冷やした
温活のために入浴回数を増やしていましたが、精巣が温まりすぎると精子は熱に弱いので、あまり長風呂はせず入浴後はシャワーの冷水で睾丸を冷やしてくださいと指摘を受け実践しました。
実際、慣れるまではかなり冷たくて大変ですが、サウナ後の水風呂でととのうように精子も、ととのうようにしましょう。
入浴だけでなく、こたつや電気毛布、膝の上でパソコンなども熱で精子がダメージを受けるのでなるべくしないようにしましょう。
不妊治療のモチベーションを保つために
夫婦のスキンシップを楽しむ
夫婦としてタイミングの日だけを意識するのではなく、日常的にスキンシップや夫婦で過ごす時間を大切にしたり、
仲良しがマンネリ化しないように夫婦で話し合ってみるのも大事だと思いました。
どうしてもタイミングの日だけしか仲良しをしなかったり、ワンパターンになりがちですが、純粋にスキンシップを楽しむこともメンタル的にも大事です。義務感で仲良しするのって、なんだか悲しいですもんね。
夫婦で良く話し合う
妊活、不妊治療は夫婦で良く話し合う必要があり、2人の間で子供を授かりたいという目標を明確にすることが大事だと思います。
妻と夫の妊活に対する熱量が違ったり、どちらかが不妊であることに負い目があったりすると夫婦仲が悪くなります。
なぜ子供を授かりたいのか、夫婦仲が悪くなってまで続けるか、金銭的負担がどこまで可能なのか、どこまでステップアップしても頑張れるか、どこで諦めるのか。
妊活は楽しいことはあまりありません。辛いことも多いと思います。しかし、同じ目標で、同じ熱量で、同じ立場で悩み苦しみ頑張れる夫婦なら妊活を少しは楽しく励むことができるのではないでしょうか?
そのためにも夫婦で治療内容やステップアップの内容を話し合ったりして、妻だけではなく夫も把握し一緒に頑張っていることを実感しましょう。
妊娠するとできなくなることをとことん楽しむ
生理が来るたびに今周期もダメだった...。と落ち込みます。しかも治療期間が長かったり、ステップアップしてもダメだったときはその度にメンタルもどんどん落ちていきます。
なので妊娠するとできなくなる楽しみを今のうちに楽しもうと変換するようにしてました。
旅行や観光、アトラクションに乗る、イタリアンやフレンチなどでレアステーキや生ハム、生魚など楽しむ。妊活にはあまりよくないですが、お酒やたばこが好きな人は息抜きとして、その日だけは嗜んでもいいかもしれません。
常に頑張り続けるのは本当にしんどいです。今周期もダメだったと落ち込む日には、まだまだ妊娠したらできなくなることが楽しめるとポジティブに考えるのも良いかもしれません。
でも、なかなかそう思えないほど落ち込んでしまうのも仕方ないことです。
願掛けをした
僕たち夫婦はお出かけが好きで、とくに僕は神社仏閣巡りが好きなので、神社で子授け祈願をしてもらったり、子授け守りやご利益があるとされる、うさぎの置物を授与したりして妊活を楽しみました。
僕はいろんな神社に行くたびに子供が授かれますようにとお願いしてました。
他にも、子宝弁慶草という観葉植物があると聞けば、観葉植物ショップをはしごしあるまで探してようやくゲットしたり
天橋立では、かわらけ投げという瓦に願い事を書き知恵の輪というところに向かって投げ、輪の中に入れば願いが叶うというものもしました。ちなみに2人とも子授けの願い事を書いて輪に入って妊娠できたので願いが叶ったのかもしれません。
という風に、適度にお出かけやお願い事をして息抜きをするのも大事なことだと思います。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。今回は『クリニックに通い実際にやったこと』や『不妊治療のモチベーションを保つために』について書かせていただきました。
前回書かせていただいた【体験記】妊活1年3ヶ月で妊娠するまでにやったこと【独学編】と合わせて読んでいただけるとより参考になるかと思います。
妊活中に飲んでいたサプリメントについてのことも書いているので参考に読んでいただけると嬉しいです。
不妊治療や治療方法は人それぞれです。
これから不妊治療を考える方々、いままさに不妊治療を頑張っている方々の参考に少しでもなれば幸いです。